あなたの大切なもの
あっという間に、説明は終わった。
やば…何も聞いてなかったし…。
ま、いっか♪


「説明も終わったし、いーちゃん一緒に帰ろ?」
 
「ごっめーん☆ 今日はちょっと用事あるから無理やねん! また今度誘って! ごめんな!」

「陸斗とデート?」

「んな訳ないっしょ!」

「あははっ♪ わーった☆ んぢゃあばいばいっ!」

「ばいばーい♪」


パタパタ――


残された苺は、ニコニコ笑っていた顔を変えた。
そう…影の顔に…。


「あたしが陸斗のこと好きな訳ないやん? ダマされやすいなぁ、ゆーちゃんは」

「苺」

「あ、綾女」

「百合、なんて言っとった?」


廊下に隠れていた綾女が、顔を出した。
そう…苺の用事とは、綾女と会う事だった。
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