あなたの大切なもの
「そっかあ…まぁシカトしときぃ。なんかあったらあたしに報告して!? 協力できることあったら協力するし!」

 
めっちゃいーちゃん優しい! 
いーちゃん友達で良かったし!


「いーちゃんありがとう! いーちゃんめっちゃ友達でよかったぁ」

「Me too♪やで♪ ……あ」


突如いーちゃんは後ろを向いて、声を出した。


「どないしたん?」

「噂をすればなんとやら、やわ。綾女登場」

「…うわ、ほんまや」

「あたし普通に接するけど、ゆーちゃんしらんふりしときや」


タタタタタタッッ―――


綾女はいーちゃんに近寄って、何かを話していた。
残念ながら、聞こえへんかったけど。

綾女がどっかに行ったことを確認してから、溜め息を漏らした。


「……はあ…めっさウザッ!」

「まぁまぁ、はよ行かな遅刻やでっ!」

「…うん!」





この時、綾女といーちゃんが話しとった事なんか、全然知るはずなかった。
あたしはいーちゃんを信じきってたし。
ドロドロした嫉妬の1日が始まることを、あたしは全然気にもとめていなかった。
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