あなたの大切なもの
顔を赤く染め、良紀に笑顔をみせる百合を見て、刹那は舌打ちをした。


「チッッ…なぁなぁ遠野、数学のプリントやった?」

「…刹那やってないん? あたしはまぁ? ☆完☆ペ☆キ☆」

「まじで!? 俺昨日部活終わってからゲームしとったからやってへんねん。写さし――」

「貸さんで?」


刹那が言い終わる前に、あたしが言葉を重ねる。


絶対貸さんし。

苦労してやった宿題を、何でタダで貸さなあかんねん。
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