あなたの大切なもの
2人で笑いながら歩いていると、刹那がふと思い出したように言った。


「……あー、俺、ちょっと陸斗んとこ行ってくるわ。用事思い出した! 遠野先帰っといてや!」

「そっかぁ…」

「…何? 一緒に居ってほしい? 寂しいん? 一緒に居ったろか? ええで~♪ 陸斗んとこ行くん、やめるから♪」

「ウン…さみしいから一緒におって…。 刹那おらんかったらあたし生きていかれへん…ってんな訳ないやろ! ありえん~ゆうに」

「ちっきっしょー! そのまんまツッコミなしのんがよかったのにー!」

「残念でした。あたし刹那のことそーゆー風に思てないもん!」

「……ええよ…俺なんか別に…」


いじける刹那を横目に、あたしは歩き出す。


「はいはいっ! もーええでな、1人芝居わー。行ってきぃ」

「う゛ー、行ってくるわ!」

「行ってらぁ」

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