あなたの大切なもの
ボーゼンと立ち尽くすあたしに、声をかける人物。


「百合ちゃ~ん? 見てたでー? あの小城に告られるなんて、相当モテモテみたいやな!」


はぁ…と溜め息をつきながら、受け答えをする。


「綾女…見とったん?」


あたしに喋りかけた、目が大きくってセミロングの少女は、白浜綾女。
あたしの唯一親友と呼べる子。
本人には言わんけど、あたしは綾女を大切にしてる。


「最初っから最後まで、全ーッ部見てた!」

「ほんま悪シュミやな。ありえへん」

「いいやーん! 親友やねんから~うちら」

 
ったく! 
こういう時だけ「親友」やねんから!
…まぁええけど。


「はいはい、待たせてごめんな? 帰ろか!」


綾女は笑って答える。


「うんっ!! 大ー好きやで! 百合!」

「ばーっか!」






綾女。

綾女の笑顔、信じてたよ。

偽りの笑顔とも知らずにね…
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