夜明け前の桜道
1限目の授業が終わり、葵は私の席の前に近づいて来た。

「咲良…」
一瞬、声を掛けられて身体が、ビクッと震えたのを葵は見逃さなかった…。

「………」
私は、ただ俯くことしか出来なかった。

ーごめん、葵ー
口に出そうとしても、上手く声にならない。

「顔色悪いよ…大丈夫かい?」
心配そうな表情で見つめる葵。

「うん…平気」
コクンと頷くと、悲しげな表情で
「じゃあ、僕は明徳と屋上に行ってるから」

そう言って、明徳に声をかけると、2人は教室から静かに出て行った。


< 27 / 44 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop