標的〈まと〉
翌々日の朝、靴箱で頭に包帯を巻いた痛々しい田中を見つけた。


『田中、おはよう!大丈夫か?』


…振り向いた田中が笑顔とは程遠い憎しみを込めた目で俺を睨み付け無言で歩き始めた。

暫く動けずにいた俺の肩を誰かが叩いたんだ
『飯島君、おはよう。田中と喧嘩でもしたの?』

青山だった。

こいつはきっと何かを知っているに違いない。

『オイ、青山。お前何か知ってんだろ?教えろよ!』

思わず襟を掴んでしまっていた。



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