標的〈まと〉
教室へ入ると伊川と中村がにやけて俺を見ていた。

佐川がその奥で腕を組み外を眺めている。

伊川と中村を無視して佐川の席まで歩いて近づいた。

『佐川、ちょっと話しあんだけど。いいか?』

振り向くことなく佐川が答えた。

『うるせぇな。昼休みに体育館の裏へ来いよ、そん時聞いてやる』

伊川と中村が笑っている…。

まあ、いい。俺は佐川と話せればいいんだ。



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