標的〈まと〉
目が覚めると、白いカーテンがまず目に飛び込んだ。


『良かった、気がついたんだな。お前体育館裏の側溝で足踏外して頭打ったんだぞ。今から親御さんが迎えにいらっしゃる。病院行って手当てしなきゃならん』

塚田のデカイ声が頭に響く。

ああ…保健室か…。
あいつら逃げたんだな…。

『伊川が助けてくれたんだぞ、ちゃんと礼を言えよ』

あいつら、絶対にゆるさない。


まだ勝てると俺は思っていたんだ…この時は。



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