標的〈まと〉
『失礼します…』

真由の声だ。塚田に頼まれてどうやら俺の鞄を持って来てくれたみたいだ。

『一緒に帰ろ!先生、いいでしょ?』

『ああ、そうだな!飯島1人だと何するか分からん。そうしてくれ』

塚田のぶっきらぼうな優しさが妙に照れ臭くて嬉しかった。


…?真由の足の異変に気付いた。少し血がでている。

『真由…足…』

真由が首を振った。
塚田の前では言いたくたいということか…。



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