標的〈まと〉
ハッと我に返ると真由が振り返り歩き出していた。

危うく気付かれるところだった。

急いで途中の男子トイレに入り、真由が通過する時点で飛び出した。

『キャッ!』

もちろん、ぶつかる事を計算したんだ。

『あっ、ごめんよ、大丈夫かい?』

真由は優しく微笑むと僕に言った。

『私こそごめんね。青山君こそ大丈夫?』

僕の心臓は爆発するんじゃないかって位ドンドン鳴っている。



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