標的〈まと〉
《プロローグ2:》賢一の場合
『飯島君、おはよう』
聞き慣れない声に俺は思わず靴箱に入れ掛けた靴を落とした。
『あ…おはよう』
青山だった。
つい昨日までオドオドしていた青山じゃない。
ましてや俺に話し掛けてくるなんて、いきなりどうしたんだ?
制服だってボタンを3つ外して髪型も変えて全く雰囲気が違う。
イジメられないために努力でもしてんだろうな…。
俺は一瞬びっくりはしたもののすぐに気にならなくなっていた。