逢いたくて
幼なじみ
「ぅあぁーん!!」
田んぼ道で1人泣いている少女。
「おがぁざん!!おどぅざぁぁん!!!」
とても可愛らしいとは言えない泣き方。
ドロドロの着物とほどけた髪。
「おとっ・・・おとぅさぁぁん!!!」
どれだけ呼ぼうと返事がない。
次第に焦り、孤独をより一層感じる。
こんなとき・・・いつも駆けつけてくれる人。
その人も今日は遅い。
こんなに遠くに来なければよかった。
蝶々なんて追いかけなければよかった。
少女の頭の中は後悔でいっぱいだった。
次第に沈む夕日に恐怖を感じ一際大きな声で泣く少女。
「もみじー!!!」
遠くから名前を呼ばれ、ふっと振り向いた少女。
坂道を誰かが上ってくる。
次第にその人の姿が現れる。
少女と同じくらいの男の子。
あのボサボサの髪。
ちょっと変な髪と、独特ななまり。
少しよれよれした着物。
少女が困ったときはいつも助けてくれる人。
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