逢いたくて
「おまんはいつの間にか綺麗になったの。」
「馬鹿じゃないの!」
「昔はわしの後を付いて来る小さい女子じゃったのにな。」
龍馬はケラケラと笑う。
「綺麗じゃぁ・・・。」
「うるさいよ。煽てたって何もでないんだから。」
「お世辞なわけないじゃろぅ。」
龍馬は笑う。
優しい笑顔で。
「龍馬。」
「なんじゃぁ?」
「・・・ありがとう。」
「なんじゃ?どうした、急に。」
「なんでもないよ。」
嬉しかった。
誰に綺麗と言われるより、龍馬に言われることが嬉しかった。
龍馬に誉められて嬉しかった。
「そろそろ帰るかの。」
「うん。」
「ほれ。」
立ち上がった龍馬は体についた汚れを払い落としてアタシに手を差し出す。
「帰らんのか?」
アタシは何も言わずそっと手を重ねた。
少し、硬い手。
剣の鍛錬のためにできた豆が硬くなっていた。