逢いたくて
「紅葉。」
「何?」
「なんでもないが。」
龍馬はそっぽを向いてしまった。
「やっぱり、前の髪がいいかな。」
「そうかぁ?わしはそれでもいいと思うぞ?」
「動き辛いのよ。いちいち髪を気にしなきゃいけないの。」
「おまんは男か!?」
また、龍馬は笑う。
昔っから笑い上戸の龍馬。
「うるさいわね。」
「まぁ、それもおまんらしゅーてええが。」
「龍馬は髷にしないの?」
「わしは髷というものをどうも好かん。髪を剃るなんぞ・・・。」
「変人。」
「髪なんぞ気にせんでええがじゃ!髷にするくらいなら坊主にしてやるぞ!!」
龍馬は頭を叩いて吠える。
「わしは!!髷なんぞせんがーー!!!」
「恥ずかしいっ!!」
アタシの声を気にしないで龍馬は叫ぶ。
「ほら!おまんも叫んでみぃ!すっきりする!!」
「ぇ・・でも・・・。」
「ほらっ!!!」
アタシはすぅっと息をすって口の横に手を添える。
「髪なんぞ気にせんでええがじゃーー!!」
アタシの声が村に響いた。