逢いたくて
「加尾ちゃんどうしたの?」
「うん、ちょっとおかずのお裾分けにきたのよ。」
そう言った加尾ちゃんの顔は少し寂しそうだった。
「わぁ!!嬉しいなっ!!加尾ちゃんのお料理は美味しいからなぁ。」
「ありがとう。嬉しいわ。」
「加尾ちゃん・・・?どうしたの?」
「ぇ?」
「寂しそうな顔してるよ。」
「ぇ?そんなことないわよ?」
加尾ちゃんは顔を触って笑う。
昔からアタシのお姉さんのようだった加尾ちゃん。
だから余計に気になる。
なにかあったのかもしれない。
「加尾ちゃん。散歩行こうか。」
「今から?もう暗くなるし・・・。」
「いいのいいの。行灯を持てば大丈夫。何かあったら龍馬が助けてくれるって!!」
龍馬の名前が出た瞬間、加尾ちゃんの顔色が変わった。
加尾ちゃんはまた寂しそうに笑って「えぇ。行こうかしら。」と答えた。
「虫が鳴いているね。」
「そうね。癒されるわ。」
加尾ちゃんを連れだしたアタシ。
空には大きな月が飾られて、周りの星が瞬いている。
「加尾ちゃん、どうしたの?何かあったの?」
「何もないわよ?」
「嘘。なにかあるって顔してる。」
加尾ちゃんは俯いてしまった。