逢いたくて
「紅葉ちゃんは・・・。」
加尾ちゃんは顔を上げてアタシを真っ直ぐ見る。
「加尾ちゃんは龍馬さんが好きなの?」
「ぇ・・・?」
「加尾ちゃんは龍馬さんが好き?」
アタシが龍馬を好き?
「アタシが・・・龍馬を・・?」
「紅葉ちゃんだから言うわ。信頼できるもの。」
「私・・・私ね。龍馬さんが好きなの・・・。」
胸が締め付けられる気がした。
背中が冷たくなって動機が激しくなる。
頭に血が上ったようにボーっとして思考がぼやける。
「紅葉ちゃんはいつも龍馬さんの隣にいて、それが不安だったの。」
「そ、そうなんだ。」
「紅葉ちゃんは龍馬さんのことが好きなの・・・?」
「好き・・じゃない・・よ。」
どうしてだろう。
その答えを言うときに勇気が必要だった。
その答えを言ったときに胸が締め付けられた。
まるで嘘をついた時のようだった。