逢いたくて



「そう!安心した!!」


加尾ちゃんの顔が嬉しそうに輝いた。



「私ね、近いうちに龍馬さんに告白しようと思うの・・・。」

「そっか・・・頑張って、ね。」



「やめて」と言いたかった。

「頑張って」なんて心の底から言えなかった。




「ありがとう。紅葉ちゃんのお陰で思い切ることができそう。」

「・・・よかった。」

「成功できそうよ。」



悲しかった。

成功なんてしないで欲しいと心の片隅は叫んでいた。


何故?

龍馬のことを好きだなんて感じたことがないのに。


きっとお兄ちゃんのように慕っていた龍馬がとられるのが嫌なだけ。

きっとそう。

好きじゃない。


好きなわけがない。





好きじゃないの・・・。





「ありがとうね。紅葉ちゃん。」


加尾ちゃんはそう言って行灯を持って帰ってしまった。

「兄上に怒られるから」と言って。


1人行灯を持って立ちつくすアタシ。




頬に何故か一粒だけ涙が落ちた気がした。











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