逢いたくて
「紅葉!!」
少女を見つけ、笑顔で手を振った少年。
少女はほっと安心してまた泣く。
「紅葉ー!!」
少年は汗まみれの笑顔を少女に向ける。
「龍馬ぁぁ!!!」
少女は少年の名前を呼んでまた泣き出した。
「紅葉!何処行っとったんじゃ?おまんの事みんな探しちょるぞ。」
「龍馬ぁ!!怖かったぁ!!」
「ぉーよしよし。よく頑張ったのぅ。」
少年は少女の頭を撫で笑う。
まるで兄妹のようだった。
「痛いところはないか?」
「・・・ない。」
「帰るか!!」
「・・・・うんっ!!!」
少年は少女の手を取って歩き出す。
龍馬がいたら怖くない。
夜になったって怖くないもん。
だって、龍馬がいるから。
お兄ちゃんのように慕っていた龍馬に恋をするなんて、この時のアタシはこれっぽっちも思っていなかった。