逢いたくて
龍馬は何かを言ったように見えた。
その直後アタシは目を見張る。
加尾ちゃんが、龍馬の胸に飛び込んだ。
アタシは辛くなってその場から逃げ出した。
2人に見えたっていい。
もういいの。
加尾ちゃんは告白を成功させたの。
今更アタシが龍馬を好きでいたってしょうがない。
遅かった。
もっと早くに気づいていればよかった。
近くにいすぎて気づかなかった。
「紅葉!?」
龍馬の声が聞こえたような気がした。
だけど、そんなことどうでもいい。
嫌。辛い。
どこに行くわけでもない。
ただ、そこにいられない。
アタシはとにかく遠くに行きたくて駆けだした。