逢いたくて
「うぅっ・・・うぅ・・・。」
とうとう、走る力も尽きアタシは立ち止まった。
涙が乾いてひんやりとする頬。
だけど、溢れる涙がまた頬を濡らす。
「龍馬っ・・・龍馬・・・。」
どれだけ呼んでも龍馬が来ないことは知っている。
今頃はきっと加尾ちゃんと一緒だろう。
ふと、周りを見るとアタシはいつの間にかいつもの丘に立っていた。
余計に苦しくなる心。
龍馬との想い出が胸を締め付ける。
「うぅっ・・・龍馬ぁ・・・。」
しきりに思い出される龍馬の笑顔。
目を瞑れない。
目を瞑ると龍馬がいて、笑うから。
どれだけ想ってももう遅い。
どうしてもっと早くに気づかなかったのだろう。
近くにいすぎて気づかなかった。
苦しい、悔しい、寂しい。
龍馬が来てくれたら・・・龍馬がそばにいてくれたら・・・・。
「龍馬ぁ・・・龍馬ぁ・・!!!」
「紅葉ッッ!!」
後ろから声が聞こえた。
ゆっくり振り向くと息を切らせ額に汗を浮かべた龍馬が立っていた。