逢いたくて
「龍馬、どうして加尾ちゃんと一緒にならなかったの?」
「ぁー、紅葉。」
「なに?」
「おんしには言わないでおこうと思ったんじゃが・・・。」
龍馬は抱きしめていた手を緩め、アタシと目線を合わせる。
「あー。なんというか、その・・・。」
「何?」
「わしな・・加尾と一緒になれん理由があるんじゃ。」
「うん。」
「わしな・・・わし・・・。」
「好いちょる人がおるんじゃ。」
龍馬はそう言って笑う。
もしかして、という期待とまた襲ってくる悲しみ。
心臓が早鐘を打つ。
「誰・・・なの・・・?」
思い切って聞いてみた。
もし、それが自分でなくともアタシは踏ん切りをつける。
もう、龍馬を困らせたりしない。
龍馬は少し驚いたようだった。
そして、言いにくそう優しく笑った。
「なんじゃ・・おまん気づいておらんかったのか?」
「・・・・・・紅葉。おまんじゃよ。」