逢いたくて
あれから、時は流れ。
龍馬から届いた手紙はざっと数えて30通以上。
その最後に書かれていた「来月には帰る。」という言葉。
今日はその“来月”。
いつもより少し綺麗に結った髪と、一番新しい着物。
少し明るい色の着物は朝日に照らされて光っていた。
髪にさした橙の簪は「シャラン・・」と音を立てて揺れる。
高鳴る胸は今にも飛び跳ねそうだった。
緊張と嬉しさで紅潮する顔。
伝えたいこと、聞きたいこと、たくさんのことがある。
だけど何よりも、逢いたい。
元気に帰ってきて欲しい。
ただそれだけを願っていた。
「おー!!着いたぁ!!やっとわしの故郷に着いたがじゃー!!」
遠くから高らかな声が聞こえた。