逢いたくて



あれから、時は流れ。

龍馬から届いた手紙はざっと数えて30通以上。

その最後に書かれていた「来月には帰る。」という言葉。

今日はその“来月”。


いつもより少し綺麗に結った髪と、一番新しい着物。

少し明るい色の着物は朝日に照らされて光っていた。

髪にさした橙の簪は「シャラン・・」と音を立てて揺れる。



高鳴る胸は今にも飛び跳ねそうだった。

緊張と嬉しさで紅潮する顔。

伝えたいこと、聞きたいこと、たくさんのことがある。


だけど何よりも、逢いたい。




元気に帰ってきて欲しい。




ただそれだけを願っていた。








「おー!!着いたぁ!!やっとわしの故郷に着いたがじゃー!!」





遠くから高らかな声が聞こえた。





< 39 / 46 >

この作品をシェア

pagetop