逢いたくて


「そんな…そんなの早すぎるよ…!!」

「すまん、すまんの…」


龍馬はそう言って私を抱き寄せようとする。
私はそれを振り払って龍馬を見る。


「どうして!どうして龍馬はそんなに勝手なの…!?」

「すまんちゃ…」

「なんで、いっつも消えちゃうの…」

「紅葉…」


私は龍馬の胸に飛び込んだ。
何度も何度も龍馬の胸を叩き、涙をボロボロ流す。
龍馬は何も言わずそんな私を抱きとめる。


「なんで行っちゃうの…」

「……紅葉、よく聞いとぉせ」


龍馬がやっと口を開いた。


「わしはの…この世を変えたい。それは武市さんの下じゃできない」

「だからって今すぐ離れなくたって…」

「今でないと駄目じゃ。わしはきっと今の勢いを無くしては駄目なんじゃ」


私にはよくわからないけれど、龍馬の目はギラギラとしていた。
きっと長い時間をかけて決めたのだろう。
きっと龍馬の意思は私が何を言っても変わらない。


「……わかった」

「じゃから、紅葉には幸せになってほしい」

「だったら…だったら連れていって」

「なっ!紅葉なにを言っとる!」

「龍馬の意思が硬いように私の意思も硬い。連れていって。」

「そんな事をしたら、おまんの家族が…!」




「…私を……私を死んだ事にすればいい…」


龍馬が目を見開いた。


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