逢いたくて
死んだ人間は追われない。
だから、私は死んだ事にすればいい。
ふと、そのあとの両親の顔が浮かんだ。
とても、悲しげな顔。
辛い。
「私は川に流されて死んだ事にすればいい。」
「おまんの親が泣く。わしはそれだけはできん。」
「私だってしたくない。だけど、龍馬を失いたくない。」
「この親不孝もんっ!!!」
龍馬が怒鳴った。
「親はどんな気持ちでおまんを育てたのかわからんのか!」
「りょ…」
「わしは誰よりも親のありがたみがわかると思うちょる!」
龍馬の…龍馬の両親は亡くなっていた。
お母さんは龍馬の子供の時に。
龍馬が上士に逆らったとして罰せられそうになった時があった。
お母さんは龍馬を身を呈して護った。
そのすぐあとに息を引き取った。
もともと体が弱いせいもあったのだが、
龍馬は自分のせいだと今でも思い悩んでいる。
「おまんは親不孝者じゃ。」