逢いたくて
「1人で帰れないし、川には飛び込めないし。」
「それは・・。」
「弱虫龍馬だったのにね。」
「誰が弱虫じゃ!」
「あはは!!」
友達と度胸試ししてはいつも負けた龍馬。
川に飛び込んだり、高い所から飛び降りたり、どれも龍馬はいつも怖がっていた。
それなのに、アタシのことだったらどんな高いところからも飛び降りて助けてくれた。
どんなに速い流れの川にも飛び込んで駆けつけてくれた。
本当は自分だって泣きそうなくらい怖かった夜道はずっと手を繋いで強がって助けてくれた。
そんな龍馬は今、剣の使い手としては村一番。
人を惹き付ける不思議な魅力と力を持っていつも人の中心にいた。
自分のことより、人のこと。
自分が損をしても人が得をすればよし。
人が悲しんでいたら一緒に悲しんで、困っていたら一緒に困っていた。
そんな優しいところが人を惹き付けるのかもしれない。
「龍馬。帰ったら乙女さんに謝らないとね。」
「あぁ!!そうじゃった・・。今日はおまんのところに泊めて貰おうかの。」
「馬鹿!ちゃんと怒られてきなさい。」
「紅葉はいつもケチじゃ。」
「うるさーい!!!」
龍馬を叩くアタシの手。
それを防ぐ龍馬の手。
同じ大きさだったはずの二つの手はいつの間にか龍馬の方が大きくなっていた。