トリックス☆スターズ
「今回の依頼のクリア条件は、ラボナの結界を破って入って来る怪物を確実に抹殺する事、つまり逃がしても結界を破られてもダメね
 因みに普段は怪物を聖職者の魔法で防いでるけど、聖職者は殺生はご法度だから組合に依頼された訳
 その場合、怪物を押し返すのにここの聖職者総動員してやっとって話だからそのつもりでいてね」

はっ?総動員?何か思ってた内容とちょっと違うなぁ。

『えぅ…、ちょっと聞くけど』

「なに?そこのおチビ」

『この仕事って』

「難易度?それならAで報酬は100万丸だけど?」

『エーーーーッ!?ウッソォーーーーーッ!』

「そんな事ウソついてどうすんのッ!街の聖職者総動員ってスケールからしてもAでしょ?
 いつものスフェーンの火力があればやれる仕事なんだよ!
 スフェーンはやれば出来る子なんだッ!今は出来ない子だけどねッ!」

『違うんだ、あたしが驚いたのは報酬の方』

「へぇ、おチビって意外としたたかなんだ
 でもねぇ、スフェーンがこんなんじゃー」

『うむー』

あたしはふにゃっと寄りかかっているスフェーンを横目で見てうなった。

「とりあえず、怪物は毎日湖側から上がってくるらしいから待機してましょ」

乗り物にスフェーンを引きずる様に乗せ、あたし達は湖の岸に移動して待機する事にした。
岸辺に着くとスフェーンだけを乗り物の中に残し、あたしとシンナバーは辺りの監視を始めた。

「奇麗な湖なのに出てくるってどんだけ無粋な怪物なんだろね、自分が怪物だって事分かってるのかッ!自重しろよッ!」

『怪物にそんな期待する人見たの初めて』

「おチビは古いッ!時代の流れについてけない怪物はあたし達に淘汰される運命なのだよッ!ザマーみろッ!」

『ブッ!淘汰する側が限定されてるのかッ!』

シンナバーっていつもこんな面白い事言ってたんだ。
バッドエンドの対象が、あたしじゃなくなっただけで面白くなった無責任さに気が付いた。
もしかすると他の人にはこんな風に聞こえていたのかもね、きっと別の誰かが対象だったらあたしも一緒に笑っていたのかな?
そうだとしたら、あたしも他の人の事は言えないな。
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