トリックス☆スターズ
さて、今回の依頼はこうだ。

事は、10年前の首都であるこのマトラ旧市街で起こった事件からはじまる。

このマトラ旧市街は、当時王の命により魔導が盛んに研究開発されていたらしい。
具体的には新しい魔導を開発し、マトラはそれを流行させて収益にしていたのだ。
その魔導は初歩的なものが多かったが、それはあくまで表向きのビジネスの為だけであり、実際は高位の魔導にまで磨かれ国力を蓄えていた。

その中の1つの魔導が、想定外の結果をもたらしてしまった。
全てを理解していたつもりで、見逃していたある事の為に起こったというオチだ。

その魔導の効果は「昼と夜では全く違っていた」のだった。

公務の時間は昼なので、当然その魔導の実験も昼行われていたのだろう。
だが、実際に使われる時が夜だったのだ。

その魔導は昼は聖なる光の影響を与えるが、夜は闇の影響を受け結果的に人を人でなくしてしまう恐ろしい魔導だった。
人でなくなった者は、昼は地面の下に吸い込まれて消えているが、夜になるとその姿を現し街を徘徊する。
10年経ってもそれがずっと続いているのだな。

そして、わたしたちの任務は夜にしか現れない、この事件を引き起こした魔導士を倒す事だ。

「なんか楽そうな仕事なのに何で10年も放っといたんだろ」

『放ってなんかいませんよ?』

「そか、まぁ王国なら金あるしな」

『名簿の人数が100人にも満たなくなった理由の1つはここにもあるんですよ』

「なんでさ」

『ここは本当は上級ランク向けの仕事なのですが、上級ランクは経験も長いですからここの危険性を理解していてやりたがらないんです
そうなると必然的に低ランクかつ未熟な者がここにやって来る事になります』
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