トリックス☆スターズ
「やぁ、いらっしゃい
 今日はどんなのを探してるんだい?」

早速ヨザワ屋の店主が声をかけてきた。今日はって言われてる通り、あたしはこのお店の常連なんだ。


『クリーダの服を作ろうと思ってるんだけど、
 丈夫でかつ柔軟性があってオシャレなのないかな?』

「ふむ、丈夫で柔軟性があってオシャレなのね、クリーダさんってこの人かい?」

『うん』

「ちょっと待っててね」

そう言って店主は奥の棚からいくつかの布を持って戻って来た。


「こんな感じなのはどうだい?」

店主が選んだのは全て濃い色の布だった、クリーダって黒っぽい色の方が似合うのかな?


『クリーダはどんな色が好き?』

「そうですね、黒っぽい色はわりと好きですよ」

『ふむふむ?おじさん、ここで作ってってもいい?』

「あぁいいよ、いつもの部屋を使いなさい」

あたしはその中で少し光沢のある黒い布を選び、それとは別に白い布を持って来てもらった。

いつもの部屋があるっていかにも常連っぽいけど、お金の問題があるからそれ程頻繁には買えやしない。
ただ、あたしは素材を買うとその場で作りたくなっちゃうから、いつも無理言って部屋を借りて作らせてもらってたんだ。

いつもの部屋のドアをパタンと閉めた。窓のないこの部屋なら落ち着いて創作を練る事が出来るって訳。


『とりあえず…』

あたしはクリーダの服を脱がした。

「そんなに見ないで下さい…」

『だって、ちゃんと見ないと作れないじゃない』
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