トリックス☆スターズ
リドナの街には朝から多くのお店が開いていた、パン屋さんもあれば食堂も酒場も開いている。


『どこにしようかんにゃん』

「朝からずいぶんと開いてるお店が多いのですね」

『やっぱ都会に近いとお店も賑わいってるのかんにゃん』

キョロキョロお店を見ながら歩いていると、突然物凄くいい匂いがして来たよ。こ・・これは・・これはこれはッ!
その匂いのする方へあたしはフラフラと歩いていった。


「どうしました?」

『この匂いってもしかして』

タレの焦げる香ばしい匂い!パタパタと炭火をあぶる団扇の音。これはまさしくあたしの大好物のウナじゃないか!
あ、ウナって言うのはウナギの事ね。あたしは愛しさ故にウナって呼んでるんだ。


「まさか朝からウナギですか?」

『ウナが食べたいんにゃん』

一生懸命目でも食べたい事を訴えた、暫く食べてなかったからとにかく今はウナを食べたくてしょうがない。


「…わかりました、少しヘヴィですけどウナギにしましょう」

『わぁぃ!ひっさしぶりのウナだんにゃん!』

注文して待ってる間、先に出された一品をちびちびと食べつつ、メインのウナが来るのをワクワクしながら待つ。
期待がどんどん膨らんで頂点に達した頃にやって来るウナの器の蓋を、開けた時に香って来るなんとも言えない素敵な香りに酔いつつ、山椒を少し多目にかけ香りを楽しみながらご飯とウナの黄金比を緻密に計算しつつ食べてゆくんだ。


『美味しかったんにゃん!幸せ~…』

食べ終わった時に思わず声に出しちゃった、ウナギを焼いてるおじさんがニコニコしてこっちを見てたよ。

「すっごく美味しそうに食べてましたね」

『うん、ウナは大好きだけど、ここのはすっごく美味しかったんにゃん』

いいお店を見つけたな、朝からおいしいウナを食べれてあたしはご満悦だ。
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