トリックス☆スターズ
「あぁ、前に軍の車両がスクラップになったのがあるらしくてさ
 軍の車両も同じ鉄だから大丈夫だよな?」

『うん、鉄なら大丈夫だんにゃん』

「んじゃ、今から案内するから付いてきてくれ」

クリーダがまだ戻って来てないし、又心配するといけないから書置きを残しておいた。

そして、ヘリオの案内であたし達は街の繁華街とは逆方向へと歩いた。やがて街の外に出ると、辺りは大きな木々が立ち並ぶ林になっていた。
たまに足元に落ちている小枝を踏むと、小枝が折れる軽い音を足に感じる。

「ここってデートとかにもいい感じの雰囲気してるよなぁ」

『そかー?確かに静かだけど景色が単調でイマ一つだんにゃん
 そんで、スクラップはどこらにあるんだにゃん?』

「あぅ…もうすぐだ」

デートでこんな見所のないただの道に来るカップルなんてフツー居ないだろ、ヘリオっていつもどんなデートしてるんだ。
暫く歩いて行くと所々天井が破れて少し朽ちかけているテントが見えた。テントに軍のマークが入ってるって事は、もしかしてこれって1年前に使われたテントなのかな?

「ここならいいか」

ここなら?くず鉄のある場所へ行くって目的でここに来たのに随分とおかしな事を言うなぁ。

『んむ?くず鉄車両はどこにあるのかんにゃん?』

あたしはテントの周辺をキョロキョロして軍の車両を探してみた。が、それらしいものは全く見当たらなかった。

「すまん…車両があるって言ったのはお前を呼び出す為の口実で、
 本当はこのテントがあるだけなんだ」

『呼び出す口実って?
 何だかよくわかんないけど、この骨組みも鉄みたいだから素材の足しにはなると思うんにゃん』

そう言いながらヘリオの顔を見てたんだけど、何かヘリオの表情がおかしい。何か素材探しよりも大切な事がある様な感じに見えるぞ?

「剣の事なんだが、実は最初から軍の試作品を使う事になっててな」

『軍の試作品?って事は?』

「すまない、剣の事はいいんだ
 お前を人目のない所に誘いたくて嘘言ってたんだ」

『でも、ヘリオはその剣を大事にしてるみたいだし、
 そのままにするのはやっぱもったいないんにゃん』
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