トリックス☆スターズ
これで元通り以上の剣の完成だ。飾りっ気1つもないシンプルな両手剣だったので、サービスとして装飾の模様を剣に刻んでやった。若干は殺伐度が下がったんじゃないだろうか。
黒い刀身にキラリと輝くこの刃は、その自重と相まって相当な切れ味がある事だろう。

『はい、直ったんにゃん』

「あ、あぁ…試し斬りしてみる」

ヘリオは地面から生えた大きな腕に剣を手渡され、少し戸惑いを表情に浮かべ少し仕方なさそうに言った。

ヘリオは片手で持っていた剣を両手で持ち直し近くの木を斬り付けると、幹は小気味良い軽い音を発して寸断された。
更にヘリオはその木が倒れる前に幹を高速で斬り続け、遂には木1本をたくさんの輪切りに変えてしてしまった。

「すげぇ・・メチャクチャ斬れるな」

『うまく行ったんにゃん、それじゃぁ帰ろっかんにゃん』

あたしは目的を果たした事で安心して、すっかりさっきの事を忘れていたのだった。

「ちょッ!さっきのオレの告白の返事はナシかよ」

『んー、何か全くピンと来ないんだんにゃん』

「なら、ピンと来る様にしてやるさ」

ヘリオはどう近づいたのかわからない程、スムーズにあたしの前に立つと、かがんであたしを抱きしめたんだ。
それに対して、あたしは何が起こったのか少しの間理解が出来なかったよ。
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