トリックス☆スターズ
村の周りを軽く一周して村の入り口に入った頃、すっかり辺りは暗くなっていたさ。
あたし達がこの村に乗ってきた木馬の荷馬車の前に戻って来た。

「ここで待機するのも何ですし、小屋か何か作れますか?」

『よし来たんにゃん』

あたしは大げさにピアノを弾く仕草をして、最後によっと言う感じに小細工魔法を使った。
荷馬車の材料といらなそうな廃材が丁度側にあったので、それも有効利用させてもらった。結構いいものが作れたと思う。

あたしが作ったのは、木の上に家があるツリーハウスだ。
屋根に荷馬車に積んでた干草を使ったからかそれっぽく見えるじゃないか。
実は、こういうのってずっと憧れてたんだよ。

だけどさー。

『うへ…真っ暗だんにゃん』

「暗過ぎて木に登るのは難しそうですね」

辺りはホントに真っ暗なんだよね。

ランプを作れそうな素材があればいいんだけど、作っても肝心の油がないナァ。
松明とかじゃうっかり全部燃えそうだし…。
あたしとした事がぬかった、昼のうちに何とかするべきだったよ。
村長に言ってもらおうかな。あんまり会いたくないけど。

「お前たちここにいたのかー!」

声のする方向に振り向くと、ベニトが灯りを持って立っていたよ。

『どうしたんにゃん?』

「母ちゃんがどうしてるか見てこいってさ」

『ふーん、そんなウソついてー
 そんなにあたし達が気になるんだんにゃん?』

「バァカ!お前達なんか気になる訳ないだろッ!
 でも真っ暗だなー!このランプ使うか?」

『おーッ!ベニトはナカナカ気がきくんにゃん
 丁度今そんなランプが欲しかった所なのだんにゃん』
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