トリックス☆スターズ
あたしはベニトの頭をぐりぐりしてやった、まさかこんなに役に立つとは思わなんだ。

「イテテ!やめろよぉー!
 ん?そこに何か作ったのか?おぉ!?」

ベニトは木の上のツリーハウスを発見して、そりゃぁ大興奮だったよ。
そう言えば、あたしも夢見た頃はベニト位の年の頃だったっけね。

クリーダがベニトが持ってきてくれたランプを、ツリーハウスの入り口側の天井に吊るしてくれた。
身長的に屋根に手が届くのはクリーダだけだったんだけど、それはしょうがない事って事さ。
入り口に吊るす事で、木に付けたハシゴが見えるのでここへの上り下りが可能になるのだ。

「こんな感じでしょうか?」

『いい感じだんにゃん』

ランプの灯りは暗闇に慣れた目には十分明るかったよ。

所でこのツリーハウスは床面積は荷馬車ベースって事もあり、せいぜい3人が寝そべられる程度の大きさしかない。
はじっこに荷物を置くとかなり狭くなる、もしベニトが大人だったらかなり窮屈だったろうね。ホント、子供でよかった。

ベニトが少し眠そうにしていたので、あたしは荷物袋から毛布を出してかけてやった。

『ねーんねーん、とーんとーん』

「うぅーん、子供扱いするなぁ・・」

せっかくだし添い寝してトントンしてあげたら、ベニトは寝言の様にそう言うとすうっと寝てしまったよ。
やっぱ小さい子ってかわいいねー、その寝顔を見てギュッとしてあげたいって思ったさ。

「何してるんですか?」

『ギクり』

クリーダにベニトをギューってしてるのを見られてしまった。向こう向いてるのを確認したのにここぞと言う時にやたらと目ざとい奴だ。

『ベ、、ベニトが寒そうだったからんにゃん』

「へぇ」

その「へぇ」って言うその表情、ちょっとにやりとしてるじゃないか。
クリーダって鈍感そうに見えるのに、洞察力センサーはやたら高性能なのかもしれないな。
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