トリックス☆スターズ
『ヨッシャーッ!大成功なのだんにゃん!』

「すごいすごいッ!やりましたね!」

『フッフッフッ、あたしが居れば乗り物には困らないんだんにゃん』

これで少しは点数が稼げたかな?
少なくとも移動する事が多い旅に、乗り物が提供出来るっていうのは絶対便利だと思ったはずだ。


西の空は尚も真っ赤に燃え、雷の様な低い音が不定期に響き渡っていた。

森の上をワサワサと言う音を撒き散らして飛行する巨大な羽ばたき機、うーん・・辺りが真っ暗過ぎて木に当たらないか心配だなぁ。
あたしはもう少し高度を取る事にした。

─すると

後ろに乗ってるクリーダの、あたしにしがみ付く強さが一気に強くなったよ。

「高いとこは少し…怖いです」

『落ちないようにしっかりつかまってるんにゃん』

そう言ったのは間違いだったかもと少しだけ思った。
そもそもつかまるハンドルはちゃんと作ったのにそれを利用しないで、ニッコリしてあたしにしがみ付いた時から分っちゃいたんだけどさ。
だってね、クリーダはあたしの首の横に顔を出してはいるんだけど、前なんか見てやしないんだよ。
ギュッとして首の辺りにすりすりしてるんだ。

「首…いい匂いがします」

『うむ、それは良かったんにゃん』

分るかな?匂いって重要なんだ、大体高感度を感じる相手からって好きな匂いがしてるもんなんだよね。
どんなに見た目で気に入っても、匂いが好みじゃないと全部ダメになっちゃいかねない。
人間は人それぞれ違う体臭を持っているけど、それが重要とされるのは動物的な感じがして不思議だな。
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