@名もなき冒険者
儀式
─ 儀式

広場を見渡すと手前に見張りのヤグラがあり、その先にテントみたいなほったて小屋が見える。


さっきの広場と違って、この広場には木はほぼなく数個の納屋位の大きさの岩があるのみで広く見渡せる。

それにしてもここは大軍が並べられそうな広さがある、イザとなったらオークはここを要塞にするのかな?

ゲルスバはまだまだ奥に続いてて、サンドリアの城や街などより遥かに広いみたいだ。


わたし達は広場の入り口から、徐々に見張りのオークを排除していった。

気が付いた事がある、オークは徐々に変化していくものに対して変化を感じ取るのが苦手らしい。

何となくカエルを水鍋に入れ、ゆっくり加熱して行くとお湯になった事にも気が付かず逃げようとしないのと言う話にも似てると思った。


他のオークに気が付かれない様に一匹ずつ倒していった為、随分時間はかかったけど危なげもなくテント小屋の前まで進む事が出来た。


リュート『ん~、この中はちょっと怪しいな』

「中入る?」

リュート『どっかから中見れないかな?
 いきなりたくさんいたら危険だしね』


テント小屋には窓らしきものはなかったが、戸は木のつまみが付いているだけの簡素な作りで隙間も開いていた。

リュート『戸の隙間から中が見れそうだな』

リュートは戸の隙間から中の様子を伺った。

「何かいる?」

リュート『いや…何もいないな』

中に入ってみたがただのオークの物置だった。

支給品らしい石斧や槍や鎧がたくさん置かれている。

リュート『違ったか』

「!何か来る…」

何かがブツブツ言いながらドスドスと言う足音と共に近づいて来る。
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