@名もなき冒険者
街には燈が闇を打ち消していた、そして相変わらず人は多かった。

収穫のうさぎや火打ち石などの日用品、鉱石などを売店に売った。

合計で100ギル位か。


安いな…


宿にはお金がかからないのが助かる。

冒険者には専用の居住区が用意されるのだ、だから来たんだけどね。

ただし、働きが悪いと判断されたり、問題を起こすと登記末梢されてしまう。


登記所から依頼を受けた冒険者調査機関が、独自に調査をして冒険者の働きを報告していると言う。

よい働きをすれば冒険者としてのランクが段々と上がり、国からの仕事の依頼を受ける事も出来るんだとか。


わたしは昼間見た城らしき建物の前にやって来た。

衛兵がこちらをにらんでいる、それ以上は近づくなと言う目だ。

これ以上近づいたら何言われるかわからないし、衛兵の顔も怖いから近づかないでおこう。

城の右沿いには大聖堂と思われる建物がある、尊厳ある城の堅そうな光とは違う、やわらかに見える光に照らされていた。


あの中はきっと白魔導士だらけなんだろうな。

わたしも白魔導士だけど仲間意識は全くわかなかった。


そもそもなぜわたしが白魔導士なのか、これは自分の意志ではなかった。

ただ、今まで白魔導士として育ってきただけだからだ。

わたしはたまたま村の寺院で育った。

そして両親が誰かも、今生きているかすらも知らない。


魔導士にも種類があり、

人を生かす事について学ぶ白魔導士、

相反し死なせる事について学ぶ黒魔導士、

神獣や精霊について学ぶ召喚士、

更に生と死についても学び更に剣士の訓練もするよくばりな赤魔導士もいる。

噂では遠くの国には独自の魔導もあるらしい。

モンスターを徹底して研究して造られた魔導なのだとか。


さて、とにかく体を休ませる為、わたしは冒険者の居住区入り口にやって来た。


ここに新しい家がある。


また明日もがんばらなきゃいけないな。

今日の稼ぎで買ったもの、粗末なパンとチーズと水。

が…がんばれるのかな
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