Dangerous city
加えて。

「だ、大丈夫恭一!?」

俺の腕の中からハルカが勢いよく立ち上がり、声を上げたのも明るい材料だった。

流石に多少のショックは受けているものの、肉体的にはほぼ無傷のようだ。

うまく落下時の衝撃から守る事ができたらしい。

「大丈…夫だ…くっ!」

背中に走る打撲の痛みに顔を歪めながら、俺は何とか立ち上がった。

「額切れてる!腕にも酷い青痣できてる!」

「窓ガラスを突き破った時に切れたんだろう…痣は落下した時の内出血だ」

事も無げに言って、俺は上を見上げた。

…身を乗り出し、逃がした獲物に対して怒号とも奇声ともつかない唸り声を上げている錯乱者達。

正常な神経を既になくした連中だ。

あの窓から飛び降りて、俺達を追跡してきたとしても何ら不思議ではない。

< 38 / 131 >

この作品をシェア

pagetop