HEARTY DAYS
「どうして何も聞かないの?」

「今の話題が挙がってもあなたが話さないということは、話したくないからなのでしょう? それとも、聞いたら教えてくれますか?」

「それは……」


言葉を濁すと、彼は微笑んで、


「ただ仕事をするだけが、私たちの仕事ではないんですよ。あくまでも、アサさんが自然に話してくれるのを待ちます」


と言った。

彼が再び教科書に視線を落とすのと、階下から声が響くのとはほぼ同時だった。


「アサ、そろそろ時間よ」

「分かってるー」


負けずに大声で返事をする。

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