HEARTY DAYS
ロボットはそれほど珍しいものでもないが、
住宅街を歩いているのは一度も見たことがない。
 
ロボットが実用されているのはまだ、学校や会社、病院などの限られた施設内だけだからだろう。


『明日の午前中にはお引渡しできると思います。
お手数ですが、ご本人のサインを頂きたいので当社に直接いらっしゃいますよう』

「分かったわ、午前中ね」


母が通信を切ると、ディスプレイはただの透明なガラス板になった。

私の横を通り過ぎて、テラスに面した広い窓辺のソファーに腰掛ける。

それからテレビをつけて、しばらく無言のまま画面を眺めていた。

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