世界で１番愛してる

ポタリ、ポタリと落ちる点滴を二人で何も言わずに見つめた。


私は涼太と同じ空間で同じ時を過ごせればただそれだけでよかったんだ。



――…涼太は？

涼太もそう思っていてくれればすごく幸せだよ…。



「なぁ、シズ。」

「…なぁに？」

「俺さ、……お前がいてよかったわ。

じゃねぇと頑張ろうとか多分思えなかった。」


無意識だった。

スカートの上にポタリと落ちたのは多分私の涙だったんだろう。

声が出なかったの…。


私も嬉しいよ、涼太と出会えて…こうして一緒にいられて。


言いたいのに何かが邪魔して、何も言えなかった。



「泣くなよー。」

「…って……だって…」

「ほら…ブッサイクな顔になっちまうぞ？」


何も変わらないね。

不器用なのも、なんだかんだで口下手なのも。

こうやって困ったみたいに笑ってちょっとだけ乱暴に涙を拭いてくれる仕種も。


きっと、これからも変わらないでいてくれる。



「んな顔して泣いたら………食っちまうぞ？」

「…………馬鹿じゃないの！」


かなり間が空いて私が慌ててそう言えばけらけら楽しそうに笑って私の頭を乱暴に撫でる。


これが、涼太なりの慰め方なんだよね。



一緒に過ごせば過ごすほど募る思い。

色褪せる事すらなくて、ただ私は涼太をこれからもずっと思い続けるんだって思う。