世界で1番愛してる



「今日はもう帰ったほうがいいんじゃね?」


涼太は外を見てそう言う。

気付いたら外はもう暗くて、星が点々と光りを放っていた。



「でも…」

「また明日あるだろ?暗くなっちまったけど…今ならまだ結構人いるから危なくねぇしな。」


私を心配してくれてるのは痛いくらいわかってる。

けど……明日は本当にあるんだろうか?



―――…駄目だ。

私が弱気になるなんて絶対に駄目だ。




「…わかった。また明日来るからね?」

「おう、待ってる。」


鞄を持ってドアの前で小さく手を振れば、笑って振りかえしてくれる。

名残惜しい、後ろ髪を引かれる。

今みたいな感情にたぶんぴったり当てはまる言葉。


病室を出て廊下を見れば、患者さんしかいない廊下が延々と続いているような気がした…。



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