世界で1番愛してる
小さい幸せ
「電気付いてるから母さんいるっぽいな。」
「久しぶりにママに会えるね!」
小さなアパート。
それが涼太の家で私の第二の家。
アパートの2階の1番奥の部屋にはうっすら明かりが灯っていて、ママがいる事を告げていた。
「なんか俺と会う時より嬉しそうなんですけどー…」
少し拗ねた涼太。
私は否定も肯定もできなくて、曖昧に笑ってから音をなるべく出さないようにゆっくり階段を登った。
「ただいまー。」
「……あぁ、お帰り。シズもお帰り。今日はシズも一緒にお出かけしたの?」
涼太の声に笑顔で出迎えてくれる暖かいママ。
私を見て、お帰り、と言ってくれて嬉しかった。
本当の家族になったような気さえするから。
「先風呂入るからシズは母さんと話してれば?」
「あんた…彼女ほったらかしかい…。」
呆れたように言いながらも台所に戻ったママに私は小さく笑って、涼太に向き合った。
「ゆっくりしてきてね。ママと話してるから。」
「…いや、早く上がるわ。母さんにヤキモチ妬きそうだし。」
呆れた…。
ママにヤキモチって…それはなんか違う気もするけど。
私は駄々をこねる子供みたいにむくれる涼太の背を押して脱衣所に押し込んでから、ママのいる台所へ向かった。