世界で1番愛してる
「シズ、これ貰ったんだけど好きだったよね?」
「あっ、シュークリーム!大好きだけど…」
「じゃあ食べな?今食べる?お茶いれるけど…」
涼太のママはすごくフレンドリーな人。
それでいて暖かい人。
涼太とママは似ているとこがあんまりないから、ふとした瞬間に話し方とかでやっぱり親子だなぁって思う。
「いただきます。」
「はい、どうぞ。
それにしても…なんであんな捻くれ息子なんかと一年もいられるか不思議だわ。」
サバサバとそれでも優しく話すママに苦笑いをして、シュークリームを頬張る。
「涼太良い人だもん。ママと似てるからね?」
「………嬉しいのか何なのか。まぁ、涼太にはシズしかいないからね。
見放さないで付き合ってやってね?」
「見放すなんてしないよ!私、涼太大好きだから。」
普通なら恋人の母親とこんな風に話す事はないのかもしれない。
でも、ママは1番最初に私が家に来た時からこんなフレンドリーな感じで変わらない。
恋人に母親に認めてもらえるのってすごく幸せ。
「シズは進学か就職か決まったの?」
「……ううん、まだ。」
高校三年の私はいい加減に進路を決めなきゃいけない。
周りの子はもうほとんど決まってるし、決まってない子は大抵は親のいる会社に就職するのがこの街のセオリーみたいになってる。
「シズが後悔しない道を選べば良いんだよ。
大学に行くにしても働くにしても。
後悔したら元も子もないからね」
「シズは俺に永久就職。これ決まりだから。」
「っ…!びっくりしたぁ…」
ママに頷こうとして、タンクトップで剥き出しになった肩に冷たい感触がして肩が跳ねた。
振り向いたら髪もろくに拭かずに私の頭に顎を乗せる涼太。
また髪拭いてないし…。