Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
「昨日、襲って来た人物にこころあたりは?」

「……全く無いですね」

 そんなのがあったら、陽のあるうちに、こんな所をうろうろしていない。

 夜を待って、フル装備でねぐらに乗り込んでやる。

 僕の答えに、穣は、微妙な表情をした。

「話を総合すると、犯人は、とても個性的な人物のようですね……それが、気まぐれに、あなたと、養護教諭を狙ったと」

「そうですね」

「そして、あなたは、養護教諭を抱えて、松嶋先生が来るまで保健室中を逃げ回っていた……案外、見た目より鈴木さんは力持ちですね。
 女性とは言え、成人した人間は、重いですよ?
 無事な右腕だけで支えたんですか?
 大怪我なさった左腕も使ったんですか?」

「……何が、 言いたいのですか?」

 何かひっかる穣の言い方に、僕は、聞き返した。

 穣は、笑ってぱたぱたと手を降った。

「いや、昨日の事を含めて、最近ちょっと考えられない事が、いくつか起こっているので聞いてみたかったんですよ」

「……どんな事ですか?」
 
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