Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
 ……コイツの目は、笑っていない。

 油断できない相手だ。

 僕は、心の中で、そっと、拳を握った。

 大槻は、それを知ってか知らずか言葉を続けた。

「昨日、保健室で潰れたベッドが一台出てきましたが、面白い壊れ方をしているのがわかりましてね」

 穣が、僕をみあげる。

「もし、人が落ちて出来た跡でしたら、足からではなく、肩や首の辺りから落ちて出来た凹みがありました。
 もちろん、普通の人間が、ベッドに落ちても、あんな凹みはできません。
 落ちた人間の重さは、最低250キロ。
 しかも、それが、高い所から落ちるか、投げ飛ばされるなど新たな衝撃が加わらないとできません」

「……それで?」

「……鈴木さん。
 あなた、襲って来た人物を、投げ飛ばしましたか?」
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