Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
がっ!
土の小山の一部が崩れたかと思うと、何かが刑事の警棒を捉えた。
手だ。
長い爪の生えた、しわだらけの細い手だった。
それが土の山から飛び出したかと思うと、刑事の警棒をつかんで素早く体ごと土の山に引き入れたのだ。
ば……ばきばきぼき
骨の砕ける胸の悪くなるような音が、辺りに響いた。
刑事を呑み込んだ小山の、大きさはかわらない。
……喰われたか。
「うわわわわ~~!」
僕が止める間もなく、残った刑事が、奇声を上げて立ち向かった。
が。
手が伸びる。
さっきよりぼろぼろになったようにみえる手に、肩口を掴まれて、刑事は土山に飲み込まれてしまった。
「な……に…?」
凛花が、呆然とつぶやいている間にも小山は、もう一人をも咀嚼して、こちらに近づいて来た。