Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
「鈴木先生……?」

 凛花が心配そうな顔をしている。

 僕は、なるべく優しく微笑む。

「大丈夫。狼狩りをしなくて済んだんだ」

 しかし、僕にも赤髪の気配は感じなかったが、嫌な予感がした。

 首の辺りが、ちりちりするような……

 誰かが、どこかでほくそ笑んだような気がしたが、いないものはいないし、ないのだ。

 僕は、手に持ったままの金属バットで、軽くとんとん、と自分の右肩を叩く。

 頭を切り替えよう。



 とりあえず、あの土山の化け物か……

 なにか、状況を一変させる事のできる手がかりは無かったか?



 そもそも、何で、ヤツはわざわざ土なんか掘って追いかけて来るんだ。




 地面の上を走った方がよっぽど早いのに。


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