Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
 凛花が、窓から出た事を横目で確認して、迷う。

 こいつを……土山の化け物をどうするか?

 一度戦いはじめた以上、徹底的にやっておかないと、想わぬ時に反撃されかねない。

 今、息の音を止めるのが正解だが……こいつは、仲間の一種かもしれない。

 簡単に殺してしまって、いいのか……?

 その迷いが裏目に出た。

『皇子、後ろです!』

 千里の声と同時だった。



 ひやり。





 突然、氷のように冷たいモノが、僕の首に触れた。

「なんだ、細せえ首だな。
片手で一つかみかよ」

 生臭い息と一緒に、下品な声が響く。

 赤……髪だ。

 僕の後ろから忍び寄った赤髪の男が、鋭い爪の生えた手で、僕の首筋をつかんだのだ。

 ヘタに動けば、このまま首を落される。

 な……ぜ……気がつかなかった……?

 そして。

「……どこから、出てきた……んだ」
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