Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
 

 ぎぃゃあっ!



 土山の化け物は、短く叫ぶと完全に動かなくなった。

 そして、僕は赤髪に捕らえられたまま、半ば呆然と眺めていた。

 そのまま、さらさらとした砂になり、僅かな風に吹き散らされるのを。



 ……死だ。

 吸血鬼の……




 化け物の断絶魔を聞いて、一直線に走っていた凛花が振り返った。

「……!」

 僕が、赤髪に捕まっていることを知り、凛花はこちらに戻りかける。

「ダメだ! 行け……!」

「うるせえな」

 赤髪が、すい、と軽く爪で僕の首を傷つけた。



 ……っく……


 血が、流れる。

 ちょっと、しゃれにならないくらいの量の。
 

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